第4章 コズミック・ラブ

#1 本当の愛

「ロッコは、いま私がいた星をいつもみていてくれたのね」
ビッカ、ビッカしてる星のこと?
「ホホ、そうです」
大好き!だっていつもビッカ、ビッカ話しかけてくるんだもの、空の上から。

「空の上? それは、、どこ?」
空の上、、は、そ、ら、の、うえ、それは、、どこ?
「宇宙です」
うちゅう!あの星がいるところが、、、うちゅう!?
「そうです。宇宙にはほかにもたくさんの星があります。いいロッコ、ほんとうにたくさんよ」
どのくらい?
「考えてごらんなさい」
え~と、公園の砂場の砂の数ぐらい?
「うぅ~ン、賢い答えねぇ、、でも、もっともっと、数え切れないほど、」
かぞえきれないほどなんて、そんなにいっぱいいたら、みうごきできなくない? ボク自由に動けないのってにがてなんだ、。

「ですから宇宙には完全なる秩序が必要なのです。完全なる秩序のなか、たくさんの星たちが美しく輝くことができるのです。この完全なる秩序に支えられた宇宙を、さらに遠いところから大きく見守っている宇宙の本質があります。それが『愛』です」

チツジョ、、ホンシツ、、アイ、、、、、!?
「地球から80億光年離れたところから見守っています」
“アイ”ってテレビでよく男の人や女の人が言ってる“アイ”のこと?

「それが問題なのです、、。すっかり変容してしまいました。
この星の『愛』は、かつて私たちが望んでいた『愛』とは別のものです」

べつ?
のぞんでいたアイはどんなアイ?
「本当の愛です」
ほんとうのアイ!? それはどんなの?
どんなかたち? さわれるの?
「目には見えません。触ることも出来ません。これはとてもとても大きく、そしてとてもとても深いのです。
いい、ロッコ、星は『愛』の象徴なのです。宇宙はたくさんの『愛』によって、なりたっています。ですからほかに何も必要としていません。『愛』の持つ力があまりに大きいからです。
そして宇宙のすべてがこの『愛』によって生まれてきたということを知っておいてください」

うちゅうのすべて、、!
「そう、」

あの星も?
「すべて」

ちきゅうも?
「すべて」

ツキも?
「すべて」

すべてって、どこからどこまで?

「宇宙には限りがないの、どこまでも、どこまでも、、、どこまでも尽き果てることがありません。そこには信じられないほどの数の星が、その輝きを競い合ってます。
それぞれが託された『愛』の為にそこではたえず、たくさんの星が消え、またたくさんの星が生まれます。そのすべてを見守っているのも『愛』です」
すべて、、アイ、、、

「こんなことがありました」

#2 ミステリアス・プラネット

「50億年前のことです。ある星が突然秩序を乱して、乱暴な行動をとったのです。おおくの星が軌道を乱され、星屑となって消えていきました。とても信じられないことでした。
宇宙で愛を知らずに生まれ成長した唯一の星です。この星は、そもそも音をエネルギーとして生まれたと言われています」

オトを?
「そう、宇宙にはふだん音がありません。音を必要としないのです。星の誕生と星がその生涯を終えるとき、わずかな音が発生します。このわずかな音を見逃さないために、宇宙は深い静謐のなかにあります。それだけ、ひとつの星の一生が大事にされているのです。しかしこの星はそのわずかな音ではなく、烈しい音を求めたのです」

そういうと空を見上げ、雲間を突き抜け、遥か宇宙に思いを寄せたかの様に話しだしました。

「遠い昔、宇宙はさらなる膨張の時を迎えて、大爆発を起こしました」

バクハツは知ってるよ! ドカ?ン!! ってやつでしょ!
みんなこなごなになって消えちゃうんだ。
とってもいけないことだって、お父さんがいつも言ってる。

「いまの宇宙は、ほとんどがそのとき生まれたのです」
ええ!? バクハツってみんな消えちゃうんじゃないの?
「この時の爆発はあたらしい宇宙の誕生を願ってのことでした」
わかんないなぁ、、
「そう、では、その時の宇宙全体がとても大きな風船のなかにあると思ってみなさい、、でもどんなに大きいかはロッコの想像できるところまで、、」
ふうせん!ボク大好き、赤いの?赤いふうせん!?
「赤い風船?、、特に赤くなくとも、、色は別に、、」
ダメ!
「だめ!?」
色を決めてくれないと、わかんない、、色がわからないと、だめ!ボク!
「そうね、、グレーかしら、、」
ぐれぇ~っ、、?て、何色?
「グレーは、、ねずみいろ」
え!ネ、ネ、ネズ、、、
ネズミ!!
どこ!どこ!

一瞬にして全身が総毛立ったロッコは、身を低く構えあたりの様子をうかがった。

「色のお話しでしょう、、!?、ロッコ」
はっと!してロッコは我にかえり、恥ずかしくなってしまいました。

「いいですか続けますよ、、その大きな風船がタカさもハバも見えないくらい大きくふくらんだり、、急に小さくなったり、、なんども、なんども、、形を変えて、、
そしてまたなんどもなんども、、、、、新しい宇宙の誕生を願いながら、、、、生まれたって思ったら消え、そしてまた生まれ、カタチになるまでなんどもなんども繰り返し、
やがてとても大きな力の塊になって大爆発に、、、そのとき、たくさんの星が粉々になって宇宙の果てまで飛び散りました。大小、様々な空間も一瞬にしてたくさんできました。
その一つに、烈しい爆発音の一部と星の小さなかけらが閉じこもってしまった空間がありました。
さしたるエネルギーのレヴェルもないこのような空間は、普通は大きな雲のようになったガスの塊にすいよせられ消えていきます。
放っておいたのです。それが唯一残ってしまったのです。それが、この後大変な問題を引き起こすことになるなんて、、まったく不注意でした。
時はまさに宇宙の黎明期。その混乱の中でおかした重大な過失でした。騒音をエネルギーとして、狭い空間の中で育ったこの星は、やがて宇宙に飛び出し破壊音を求めていくことになります。
しかし宇宙にはそんな音はどこにもないのです。それを知ったこの星は、自ら音を生むことをはじめたのです。
星が整然と並んでいるのをみると、自ら体当たりを繰り返し、次々とはじき跳ばすように、星を軌道外に追いやり、あっというまに去っていってしまうのです」

ロッコは何か思い当たることがあり、それを必死に探しています。
体当たり、、はじき跳ばす、、、
そうだ!いつかテレビできいちゃんと見た、、
ビリヤードだ!!
でしょ!? そんな感じでしょ?

「これは星が生命を奪われるお話ですから遊びとくらべるわけには、、
自力で軌道に戻れない星は、そのまま崩れてやがて星屑となって消えてしまいます。その星は、その後も我が物顔に多くの星の命を奪い続けています。永い宇宙の平和の歴史の中、唯一の汚点です」

体当たりするなんて、、なぜそんなことをするの?
「音を求めているからです」
、、、、、、、、、、、、、、、、?
「自らぶつかってその衝撃音を吸収しエネルギーに変えているのです」
そんなひどいことをして誰も何も言わないの?
注意するとか、こらしめたりとか誰もしないの?

その人はゆっくり天空を見渡して言った。

「この宇宙にある、数え切れないほどある星の、どの星ひとつひとつにも、みなそれぞれが背負った運命があって、生まれてきたのです」

#3 星の運命

「その運命を全うしていくのが、その星の役割です」
せおったうんめいって、、なあに?
「生まれて、、終わりをむかえるまで、、それぞれ少しずつ違った道がさだめられている、ということです。その役割をになっている以上、誰も、なにも、いうことはできません」
え! え、どういうこと?、、つまりその星がしていることは、、、“やくわり”だっていうこと? 悪いことでも、やくわりならいいの?

「どういう素性の星か、なにもわからない星です。でも、星である以上必ず運命を背負っているのです。
星の生誕には全てかかわるはずの宇宙で、この星だけが、何の関わりもなく大きくなってしまったのです。
ですからこの星には『愛』がないのです。『愛』の意味を、伝えることが出来なかったのです」
アイのイミ?
「そう。星が生まれるとき、ともに、必ず『愛』という存在の持つ“意味”も、得ます」
あ?ぁ、わかんない、ウンメイとかサダメとかイミとか、、、。これってどんなイミ?
あ、あれ!?つかってるじゃん、
「ゆっくりね、焦らず、少しずつ分ってきますから。愛の意味を知った星だからこそ、秩序を保つことができるのです。愛のない星は極めて無謀です。
でも、この星はとても頭のいい星です。しかも強い意志を持っている。50億年前この星の将来を危惧して、宇宙には直ぐ三つの星が生まれました」

#4 3つの星

「二度とこの様なことがあってはならないからです。一つは、とても高い運動能力を持った生命体の星、力星です。
この星の知的レヴェルは標準ですけれど、体格体力に関しては抜きん出ています。皆大きな体をしていて、3mなんてこの星では小さい方です。4m30cm、5mなどが平均です」

ロッコは機械を使って運ぶ様な巨木や巨岩を、いとも簡単に素手で運んでいる大きな人達が、道いっぱい闊歩しているのが見えた。
ズシンズシンと地響きをたてて、次々と空から足が降ってくるのを必死で踏みつぶされないようチョコマカチョコマカよけている、ちっちゃな自分がいました。

こわ~い。
「いくら力で向かって来ようと、この星のパワーに敵うものはいません。力と力はこの星の望む所でした。そのはずでした、、、が」
はず?
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、それから
二つ目は超科学文明を築きあげた、宇宙でも極めて高い水準の科学力を誇る智星です」
地球みたいに?
「いえ、いえ、、はるか上、、」
は、、、はるか、、うえ!?

真っ白な空間、ロッコも真っ白な艶のあるスーツに身を包んでいる。壁にはいっぱいボタンが並んでいる。朝食のボタンを押すとメニューの映像があらわれて、好きなものを自由に選べる。
ロッコはゴクンと喉をならしてパッパッとボタンを押しました。あっという間にマグロの刺身、コーンスープ、フルーツジェリーが次々とテーブルをうめる。

わぁ~、、ぁ! 便利大好き。
かっこいい人ばっかしなのかなぁ。
「地球の人がその星の生命体を見たら、多分みな同じように見えるでしょうね」
それじゃぁ、誰が誰だか分んないじゃん!
「いいえ、彼ら同士では違いがわかるの。彼らの互いを識別する能力は、地球のレヴェルでは到底分らないこと、それに、もし口を開いたら、互いにまったく違う見方を披露しあう。100人集まれば100通りの意見があるの。
彼らは“考える”ということを生きていく拠り所としてきたのです。ともかく、、もうはるか昔に、差別とか暴力という概念をこえた生き方をしていたのです。
それを圧倒的な幸福科学力で達成したのです。これほど高い科学力を達成した生命体の星はほかにいません。宇宙では“賢者の星”として知られていました。
彼らは自分たちの星の運命を悟り、その環境に適した極めて合理的な遺伝子を創り上げていったのです。50万年のときをへて言語は統一され、背格好も同じようになり、200年ぐらいは平均的に生きます。
常に宇宙のいちいんとして、役割を担っていることを小さい時から習い覚えます。だから考え方の基本は常に“宇宙の中の自分たち”と、宇宙を視野にいれた、とても深い思想にたどりついていたのでしたが、、、」

ん、、?
「何しろ、子供の時からケンカすらしたことがない星でしたから、、」
どうしたの?
「いいえ、、、、。
三番目がこの地球です。地球の創成は宇宙にとっても壮大な実験でした。もっとも感情の豊かな生命体を願ったからです。
『愛』を中心にして、力や科学力、知力にこだわらず、あるがままの種をおいたのです。複雑で多種多彩な創造物もたくさん配置されました。
星が星として成り立つのに50億年、人類として育むために、200万年のときもあたえました。
小さな地球は多様な環境を生み出し、同時に選び残った人間という種も多様のまま残りました」
それ、タイヨウのコト?
「いいえ、太陽ではなく、多様です。言語もたくさんあるし、髪の色、目の色、肌の色など、体つきとか見た感じがバラバラでしょ。
一つの星を代表する生命体が、これほど多様なまま残り、存在している星はいくら広い宇宙でも他にはありません」
えぇ!本当?そうなんだ、、、そういえばボクたちにもいろんな顔のヤツいるからなぁ、変わったネコもいるし、、、
ロッコはトラ吉親分のことを思い浮かべていました。

「地球を太陽系に、他の二つの星をそれぞれ地球から16万光年はなれたところに一つ、さらに240万光年のところに一つ、おきました。これはこの得体の知れない星の行動範囲を考えた絶妙の配置でしたが、、」
でしたが?、、今は、違うの?
「たった50億年の時間が、この宇宙のおびただしい星の中から、その星は三つの星を“特定”させてしまったのです、、、。信じられないことでした。この三つの星の役割、運命を知ったのです。そして行動にでたのです」

口惜しさと哀しさのいりまじった、嗚咽にも似た声になっていったことに、ロッコはひどく驚きました。
そういうと、その人は黙ってしまいました。
どうしたんだろう?
“50億年”も、“三つの星”もロッコは、もうわかっていました。ただ、トクテイという言葉が耳になんども響いていました。
ずっと“検索中”が点滅のままでした。